浮気が原因で夫婦が離婚する場合、浮気をしたパートナーに対して慰謝料請求をすることもあるでしょう。
しかし、必ずしも慰謝料が発生するわけではなく、慰謝料の相場もケースによって変わります。
今回は、浮気・不倫の際の慰謝料請求に関する基礎的な知識をお伝えします。
目次
離婚における慰謝料とは?
そもそも「慰謝料」とは何なのでしょうか?
慰謝料とは、簡単に言えば「精神的なダメージに対して支払われるお金」です。
浮気、不倫が原因の離婚では、有責配偶者に対し、精神的苦痛を受けたもう一方の配偶者が、慰謝料を請求することができます。
有責配偶者とは、離婚における原因となった側の配偶者を指し、浮気をした側のパートナーがこれに該当します。
「性格の不一致」などで離婚をする場合など、双方どちらかが原因であると言い切れない場合は、慰謝料請求はできません。
あくまで、一方に主たる離婚原因があると証明できる場合、慰謝料の請求が可能になります。
慰謝料請求が発生する主なケース
離婚の際、慰謝料が発生するのは主に以下のようなケースです。
- 1不貞行為(浮気や不倫など)があった場合
- 2DV、モラハラなどの肉体的・精神的暴力行為があった場合
- 3「悪意の遺棄」があった場合
- 4性行為の拒否、婚姻生活の維持への不協力があった場合
③の「悪意の放棄」に当たる行為とは、婚姻関係にある夫婦間の義務として民法第752条にある「同居の義務」「協力義務」「扶助の義務」に対して、違反をした場合に適用されます。
例えば、専業主婦の妻に対し、夫が生活費を入れない等、経済的責任の放棄が、これに当たります。
また、夫婦は互いに不貞行為を禁止されており、互いに協力し合うよう義務付けられています。
パートナーが夫婦関係の平和的な維持に協力的ではない場合、有責配偶者であるとして慰謝料を請求できる可能性が高いと言えます。
慰謝料が発生しない主なケース
一方、性格の不一致や価値観の違いなどで離婚をする場合、どちらか一方だけに責任があるわけではないので、慰謝料は発生しません。
また、もしパートナーの浮気が原因で離婚に発展したとしても、その浮気を証明する証拠がなければ、パートナーに離婚責任があるとは認められません。
あくまで、「一方が有責配偶者である」と認められる状況でなければ、慰謝料を請求できない可能性があるので、注意しましょう。
浮気したパートナーに請求できる慰謝料の相場
浮気・不倫における慰謝料の相場は、約50万円~300万円と言われています。
状況によっては50万円に満たないこともあれば、300万円を超えることもあります。
慰謝料を請求するのであれば、少しでも高額な慰謝料を望む方が多いのではないでしょうか?
では、一体どのような場合に慰謝料が高額になるのか?を見ていきましょう。
浮気の慰謝料が高額になる10のポイント
パートナーの浮気が原因で離婚する場合、以下の5つのポイントに当てはまっている数が多いほど、慰謝料は高くなる傾向にあります。
1.結婚している期間が長い
結婚している期間が長ければ長いほど、慰謝料は高額になる傾向があります。
なぜなら、共に生活をした時間が長い分、パートナーの裏切りによる精神的な傷が深いと考えられるからです。
結婚期間が10年以上の場合は、長い期間、生活を共にしていると判断されやすいため、慰謝料の増額が見込めます。
2.夫婦関係が円満
不倫発覚前の夫婦の状況によっても、慰謝料の金額が変わります。
以前より夫婦関係が破綻していた場合は、不倫発覚よる精神的なダメージは少ないと判断されてしまいがちです。
一方、夫婦関係が円満なものであれば、不倫によって夫婦関係に与えたダメージが大きいとして、慰謝料は高額になります。
3.不倫の期間が長い、または回数が多い
不倫の期間が長ければ長いほど、また不倫の回数が多いほど、悪質性が高いと考えられており、裏切られた配偶者の精神的なダメージが大きいと判断されます。
仮に、過去にパートナーの浮気が発覚しているにも関わらず、再び浮気をされた場合は、ショックの度合いは以前よりも大きくなることでしょう。
このように悪質性が高く、配偶者に与えたダメージが大きければ大きいほど、慰謝料は増額します。
浮気したパートナーの悪質性(期間、回数など)を証明することができれば、より高額な慰謝料請求が可能です。
4.子供の有無
夫婦の間の子供の有無によって、慰謝料の金額は変動します。
もし、夫婦間に子供がいたならば、離婚によって子供へ与える影響も大きなものとなるでしょう。
父親(母親)の浮気が、子供の人格形成にも関わる可能性もあります。
また、子供にとっても両親の離婚は人生に大きく影響します。離婚原因が父親(母親)の不倫となれば、なおさらです。
そのため、子供にまで影響を与える離婚の原因を作った有責配偶者の責任は重い、として慰謝料が多額になる可能性があります。
なお、パートナーと不倫相手との間に子供がいた場合または不倫相手が妊娠していた場合、配偶者の精神的ダメージは大きいとみなされ、慰謝料の金額は高くなります。
養育費と慰謝料の違い
慰謝料とは少し話は変わりますが、子供がいる状態で離婚をする場合、お金の問題として『養育費』もあります。
慰謝料も養育費も、離婚の際に支払われるものなので、漠然と同じようなものだと思っている方も多いかもしれません。
しかし、慰謝料が不貞行為や離婚による精神的ダメージに対する損害賠償であるのに対し、養育費は扶養義務(親が子どもの面倒を見る義務)に基づいて支払うものなので、この二つは全く別のものです。
詳しくは以下のページにまとめてあるので、ご覧下さい。
5.その他、有責配偶者に落ち度がある
「不倫をした」以外に、パートナーにDVや借金などの落ち度があった場合、慰謝料はさらに増額されます。
また、浮気をされた側の配偶者に落ち度が少なければ少ないほど、一層パートナーに離婚の責任が問われることになり、高額の慰謝料請求が可能になります。
反対に、浮気をされた側に何かしらの落ち度があった場合、双方に離婚原因があると判断され、慰謝料請求が難しくなることがあります。
6.浮気・不倫相手が婚姻関係について知っていたか
浮気・不倫相手が、夫(妻)が既婚者であることを知っていたか知らなかったかによって、慰謝料の請求額に変動があります。もし浮気・不倫相手が夫(妻)が既婚者だということを知っていながら浮気・不倫をしていた場合、家庭を崩壊させる意思があったと捉えることができ、行為自体が悪質の為、慰謝料の請求額が上がる可能性が高くなります。一般的には、好きになった人に夫(妻)がいると知れば、手を引くのが人として当たり前のことです。分かっていても好きという感情だけで浮気・不倫関係になり、相手の夫(妻)のことを考えない方も中にはいます。ですが、こちらに関してはもちろん夫(妻)がいるにもかかわらず浮気・不倫をするのも良くないですが、それを許してしまう男性(女性)にも罪深いものがあります。
7.浮気・不倫を認めるか
浮気・不倫をしていた証拠があるにもかかわらず、浮気・不倫相手が避妊を繰り返す場合があります。その場合は、浮気・不倫をされた被害者の気持ちを顧みず、気持ちを踏みにじったとして増額になることがあります。
8.不貞関係解消の約束を破った場合
以前に浮気・不倫をされ、もう浮気・不倫はしないと約束したにもかかわらず、約束を破って再度浮気・不倫をした場合です。一度注意をされているにもかかわらず、同じことを再度行ったことで悪質な行為だと判断され、こちらも慰謝料請求の増額の対象になる可能性が高いです。
9.浮気・不倫相手との子どもを妊娠した場合
浮気・不倫相手との子どもを妊娠した、もしくは妊娠させた場合、夫(妻)に大きなショックを与えることになります。ましてや自分たち夫婦に子どもがいなかった場合、さらなる悲しみを与え、精神的にショックを与えることになるので極めて悪質な行為として増額の対象になる可能性が高いです。
10.精神的苦痛を与えた場合
浮気・不倫の発覚によって、浮気・不倫をされた夫(妻)がうつ病や精神病などを含む病気を患った際にも、慰謝料の請求額を増額される可能性があります。うつ病などの精神疾患は、簡単にすぐに治るものではなく、長期に渡って治療をする必要がありますし、再発の可能性もある病気です。それほどまで追い詰めた責任として、多額の慰謝料を請求されても仕方がありません。また病気の診断をされた場合は、証拠となる診断書を必ず貰うようにしましょう。
慰謝料請求をする前に
実際に浮気をしたパートナーに慰謝料を請求するなら、あらかじめ必要な準備をしておくことで、スムーズに慰謝料請求を行うことができます。
慰謝料請求に踏み切る前に、一体どんな準備が必要なのでしょうか。
注意点も交えてお伝えします。
確実な証拠を集めておく
まず第一に、パートナーの浮気を証明できなければ、慰謝料請求は難しくなります。
パートナーの浮気が離婚原因であり、確実に浮気があったと証明することで、浮気された側に慰謝料請求が認められます。
証拠が違法性のあるものや、そもそも浮気を証明できないものの場合、裁判所は浮気の証拠として受理してくれません。
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不倫の時効は3年
パートナーの浮気を知ってから、3年が経つと時効は成立してしまいます。
3年以上前の浮気が原因で離婚をしても、不倫は時効になっており、それを理由にした慰謝料請求は基本的にできません。
パートナーの浮気を疑ってから、すぐに離婚や慰謝料請求に踏み出すことは難しいかもしれませんが、慰謝料請求は限られた時間の中でしか認められないなので注意しましょう。
一人で結論を出すことが難しい時は、第三者やプロの手を借りて、相談しながら今後の夫婦関係について考えてください。
弁護士や探偵に相談をしておく
慰謝料請求は、調停や裁判を通じて行うことが一般的です。複雑な手続きが多いので、弁護士を雇う方が多く、たとえ慰謝料を請求できたとしても、実際に支払われるまでには一定の時間が掛かることもあり、その間にトラブルが起こる可能性も考えられます。
そのような時に、信頼できる弁護士がいれば、適切に対処してくれるはずです。
今は、探偵事務所のように弁護士事務所でも無料相談を設けていることがある他、探偵事務所が弁護士を紹介してくれることもあります。
自力では、その後のトラブルにまで対処することが難しいので、弁護士等のサービスの利用は早めに検討しましょう。
パートナーへの慰謝料請求の際の注意点
パートナーに慰謝料を請求する際、浮気の証拠以外にも、以下の事実が証明されると、より有利に裁判を進めることができます。
- パートナーの浮気その他の落ち度(DVや「悪意の放棄」など)
- 慰謝料請求者(浮気された側)に落ち度がないこと
- 浮気発覚まで別居などをしておらず、夫婦関係が良好であったこと
- パートナーの浮気により、精神的苦痛からうつ病などを患っていた場合
浮気そのものについてだけではなく、浮気をされた側がパートナーの浮気によって、どれだけの精神的苦痛を受けたのか?を証明することが大切です。
また、パートナーの浮気が発覚した後に、離婚を選択するのか?しないのか?によっても、慰謝料請求が成功する可能性は異なります。
離婚する場合
確実な証拠に基づき、パートナーが有責配偶者だと認められていれば、ほとんどの場合で、慰謝料請求が可能です。
なぜなら、裁判において「離婚」という選択肢を取らざるを得ないほどに、パートナーの浮気が夫婦関係に亀裂を入れたと判断されるからです。
その際は、上記で示したようにパートナーの落ち度やそれまでの夫婦関係の良好さなど、できる限りのことを証明できるようにしましょう。
一方で、浮気発覚前より別居などをしており、夫婦関係が破綻しているとされる場合は、離婚の主な原因がパートナーの浮気だけではない、として慰謝料が相場より低額になる可能性があります。
離婚しない場合
「離婚をしない」場合は、慰謝料請求は離婚をする場合よりも難しくなります。
「離婚をしない」ならば、パートナーの浮気によって夫婦関係に大きな亀裂は入っていないのだろう、と判断されるためで、たとえ慰謝料請求が通ったとしても、低額になる場合がほとんどです。
また、離婚をしないなら、夫婦間で金銭が移動するだけになり、「家族の家計」という視点で考えれば1円も得がないので、そもそも慰謝料請求をしないケースが大半です。
しかし、その場合でも、パートナーの浮気相手に対しては、慰謝料を請求できる可能性があります。
浮気相手にも慰謝料請求は可能
浮気が原因で慰謝料請求をする場合、パートナーの浮気相手にも慰謝料を請求することが認められています。
もし、離婚をする場合、パートナーと浮気相手の両方に慰謝料を請求することが可能です。
また、すでに触れたようにパートナーと離婚せず、慰謝料請求をしない場合でも、浮気相手に対してだけ請求をすることができます。
もちろん、浮気相手に請求を行うか?の判断は、各人の意思に委ねられています。
例えば、パートナーより浮気相手の方が収入が多い場合、浮気相手にのみ慰謝料請求をした方が高額な慰謝料を払ってもらえることも考えられるでしょう。
様々なことを視野に入れ、確実に慰謝料をもらうためにも、弁護士などのプロに相談してみてください。
パートナーと浮気相手、両者に慰謝料請求をする場合
パートナーと浮気相手の両者に慰謝料を請求をする場合、それぞれ個別に慰謝料請求をすることは基本的にできません。
例えば、パートナーと浮気相手に、300万円の慰謝料請求をしたとします。
その場合、パートナーと浮気相手は連帯責任として、300万円を支払うことになります。
パートナーがひとりで満額の300万円を支払った場合、精神的苦痛を補うための金額はすでに支払われているとして、浮気相手に慰謝料を払ってもらうことは難しくなります。
しかし、両者に慰謝料を請求すれば、例え一方が支払えずとも、どちらかからは必ず請求額を払ってもらうことができます。
確実性に慰謝料を支払ってもらうことを念頭に置いて、両者への請求を検討してみましょう。
浮気相手にだけ慰謝料請求する場合
パートナーと離婚をしない場合、浮気相手にだけ慰謝料請求をすることも可能です。
その場合、浮気相手がパートナーを既婚者であると知っていながら交際していた場合(故意)、また知らずとも結婚指輪などから十分に既婚者である可能性が推測できたとされる場合(過失)に限って、慰謝料請求が可能です。
一方、浮気相手が結婚していたことを全く知らなかった(推測さえできなかった)場合は、パートナーが慰謝料を請求される可能性もあります。
離婚をしない場合でも、浮気相手に慰謝料を請求することで、パートナーと浮気相手の関係を解消してもらい、パートナーとの関係修復に向けて一歩踏み出すことができるはずです。
慰謝料請求するために必要となる浮気や不倫の証拠取得から、慰謝料請求後の夫婦関係修復のカウンセリングなどをまとめた記事はコチラをご参考ください。
浮気相手に慰謝料請求ができない場合
一方で、状況によっては浮気相手に慰謝料を請求することが難しくなります。
浮気相手に慰謝料請求をする前に、以下のような状況ではないか?を確認してみてください。
すでに十分な慰謝料を支払われている場合
例えば「パートナーと離婚をする」と選択し、既にパートナーから慰謝料を支払われていたとします。
その場合、すでに精神的苦痛を補うだけの慰謝料が支払われているとみなされ、浮気相手への慰謝料請求は難しくなります。
心に負った傷を、お金で解決できるわけではありませんが、裁判ではそのように扱われてしまうため、浮気相手にも慰謝料を請求したい場合は、請求のタイミングなどに注意しましょう。
浮気相手に故意・過失がない場合
浮気相手に慰謝料請求ができるのは、浮気相手に故意または過失がある時です。
もし浮気相手がパートナーの素性を一切知らず、既婚者であると全く気付けない状況だった場合や、パートナーから強要されて交際をしていた場合は、慰謝料請求が難しくなります。
場合によっては、浮気相手から、
「独身だと聞かされていた」
「(パートナーが会社の上司などで)強制されていた」
と、主張してくることも考えられます。
その通りなのであれば、浮気相手には非がありませんが、その言葉が嘘である可能性も否めません。
その嘘を、一人で暴くことは非常に難しいと言わざるを得ないでしょう。
だからこそ、浮気相手の故意・過失を確実に証拠として証明し、慰謝料請求にこぎつけることが重要です。
W不倫だった場合は慰謝料請求が難しい場合も
浮気相手も既婚者だった場合(俗に言うW不倫)は、浮気相手への慰謝料請求が難しくなります。
厳密に言えば、W不倫であっても浮気相手への慰謝料請求は可能です。
しかし、浮気相手の配偶者が、パートナーに慰謝料を請求した場合、慰謝料が相殺されてしまうことがあります。
例えば、パートナーの浮気相手に、200万円の慰謝料請求をしたとします。
一方、浮気相手の配偶者も、パートナーに200万円請求したとします。
そうすると、二つの家庭の間で200万円の金銭を交換しただけになってしまうので、結果として慰謝料は相殺されてしまいます。
離婚をするか?しないか?など、状況によっても異なります。また、どちらか一方の慰謝料額が多い場合は、必ずしも相殺にはなりません。
先に浮気相手の配偶者が、パートナーに慰謝料を請求してきた場合、あえて相殺を狙う目的で、浮気相手に慰謝料請求を行った方が良いケースもあります。
状況によって異なるので、法律の専門家に適切な判断を仰ぐことをおすすめします。
慰謝料請求の大まかな流れ
パートナーの浮気が原因で慰謝料が発生する場合、以下のような方法で慰謝料請求することができます。
- 1口頭または書面での請求
- 2調停による請求
- 3裁判による請求
必ずしも裁判をする必要はなく、自分たちで話し合い、慰謝料の金額を決めることもできます。しかし、相場から離れた高額な請求をした場合などは、なかなか決着がつきません。
逆に、相場よりも極端に少ない金額を請求してしまい、後悔をする可能性もあります。
また、そもそもパートナーや浮気相手が浮気を認めない場合、話し合いでの請求は難しくなります。
裁判に発展した場合はもちろん、直接話し合って慰謝料請求をする場合であっても、確実な証拠を掴んでくれる探偵や法律のプロである弁護士を頼ることが重要です。
では、慰謝料請求をする際の3つの方法について、それぞれ大まかな流れをご説明します。
口頭・書面での慰謝料請求
もし、あなたとパートナー、また浮気相手が冷静に話し合える状態にあれば、実際に話し合って慰謝料を決めることが可能です。
口頭での請求
口頭で慰謝料を請求する場合、電話や対面で話し合うことになります。
特に決まった方法があるわけではありませんが、慰謝料を決める話し合いなので、互いが冷静になれる状況を作りましょう。また、録音など「言った・言わない」などのトラブルを避ける工夫も必要です。
・直接意見を述べることができる
・その場で意見を交わすことができるため、書面よりも解決が早期になる場合がある
・相手に言い訳を考える猶予を与えない
・不毛な言い合いになってしまうことがある
・後から言った、言っていない、のトラブルに発展することがある
・極めて冷静にパートナーや浮気相手と話し合わなくてはならない
書面の場合
書面でのやり取りも、特に決まった方法はありません。
メールや内容証明郵便などでやり取りをして、慰謝料の金額を決定していきます。
内容証明郵便とは、日本郵政が「手紙を送った」事実を証明してくれるものです。
「届いていない」と言い逃れをされないために、慰謝料請求においては、非常に多く利用されています。
・書面という形で互いの主張が残る
・直接対面しないため、感情的な言い合いになることが少ない
・時間をかけて考え、冷静なときにやり取りができる
・直接話し合うわけではないため、時間がかかる
・メールや手紙の送信事故、郵送事故を主張される場合がある
・書面に誤りがある場合、自分が不利な状態に陥る場合がある
調停による慰謝料請求
口頭や書面での請求方法もありますが、当人同士の話し合いでスムーズに慰謝料が決まることは、ほとんどありません。
多くの場合、慰謝料請求はお互いに初めてのことであり、法律に関しても素人なため、適切な慰謝料の額を決定できずに話し合いが難航してしまいます。
また、当人同士での話し合いでは冷静になれず、第三者の力を借りないと、問題解決が難しい場合が多々あります。
その場合、裁判を起こすより先に、調停での話し合いになることがほとんどです。
調停とは?
調停と裁判の違いが分からない方も多いと思います。
簡単に言えば、調停とは「話し合いの延長」です。
調停を行う場所が裁判所なので、裁判と同じように考える方もいますが、調停は裁判のように人を裁くためのものではありません。
裁判所が第三者として、話し合いを仲裁してくれる制度です。
調停による慰謝料請求のメリット
調停で慰謝料請求を行う場合、以下のようなメリットが存在します。
・第三者(弁護士など)を間に立てて冷静に話し合える
・調停は裁判に比べて手続きなどが簡単
・必ずしも弁護士を雇う必要はない
・「調停調書」が提示される
調停では、必ずしも多額の費用をかけて弁護士を雇う必要はありません。
もちろん、調停を有利に進める証拠取得のために探偵に調査を依頼することや弁護士への相談は有効です。
しかし、あくまで話し合いの延長なので、誰でも簡単に手続きをすることができます。
また、調停によって慰謝料を取り決める大きなメリットは「調停調書」の提示だと言えます。
「調停調書」には、話し合った内容が記載され、調書そのものが法的拘束力を持ちます。
つまり、調停において慰謝料の金額が合意したにも関わらず、支払いが滞った場合、調停調書によって相手方の財産を差し押さえることが可能になります。
しかし、慰謝料請求をする相手、つまりパートナーや浮気相手が調停に出席しなかった場合、そもそも話し合いができず、裁判で争うことになります。
裁判による慰謝料請求
もし、調停による話し合いが決裂した場合、裁判によって解決を図ることになります。
裁判の場合は、必ず弁護士を雇う必要があると言っても過言ではありません。
自分のことを自分で弁護することも可能ですが、現実的に難しいと言わざるを得ません。
また、裁判所への訴状の提出、出廷など、調停に比べて労力も必要です。
しかし「裁判は大変だから」と泣き寝入りをしてしまえば、浮気をしたパートナーや浮気相手を無条件で許すことになってしまいます。
しっかりと慰謝料を請求するためにも、最終手段として裁判があることを忘れないでください。
多くは和解で決着
裁判は約半年ほど続くと言われますが、必ずしも最後まで裁判を行う必要はありません。
ほとんどのケースでは、裁判中に裁判所から「和解勧告」がされます。
例えば、裁判所側が「慰謝料の希望額は300万となっていましたが、250万にしてはいかがですか?」と提案したとしましょう。
裁判所側の提案を、あなたと浮気をしたパートナーもしくは浮気相手、双方が納得して受け止めれば、和解が成立します。
和解できない場合は判決によって解決
和解ができなかった場合は、最後まで裁判を進め、判決によって決着をつけることになります。
判決によって裁判所から慰謝料請求が命じられた場合、相手方(パートナーや浮気相手)は慰謝料を支払うことが法的に義務づけられます。
法的拘束力があるので、確実に慰謝料を支払ってもらうことができます。
しかし、証拠不十分などでパートナーや浮気相手の不貞が立証されなかった場合、慰謝料請求に失敗する可能性があります。
判決に納得がいかない場合、控訴を行って、再び裁判で争うこともできますが、なるべく負担なく裁判を終えることができるように、事前に証拠を揃えて臨みましょう。
【まとめ】慰謝料請求には確固たる証拠が必要
一般的な感覚としては、浮気の発覚後に、すぐに慰謝料を請求することは当然だと思うかもしれません。
しかし、パートナーの浮気が証明できない場合、慰謝料請求に失敗する可能性が高まります。
それは、直接口頭や書面で話し合う場合、裁判で争う場合、どちらの場合においても同じです。
だからこそ、慰謝料請求をする前の準備が大切です。
一人の調査では限界があり、さらに、せっかく掴んだ証拠が違法行為だった場合は、裁判所に認められない可能性もあります。
話し合うにしても、一人で戦っていては心が折れてしまい、望む結果に辿り着かないまま諦めてしまうことも考えられます。
多くの労力をかけたにも関わらず、慰謝料請求に失敗してしまえば、元も子もありません。
このような失敗を防ぐためにも、探偵事務所への調査依頼や弁護士への相談は非常に有効です。
プロの手を借り、協力して進んでいくことが、確実に慰謝料請求を成功させる近道になります。
また、慰謝料だけではなく、親権を含めた権利についても相談や離婚を選択しない場合の夫婦関係の修復についても、的確なアドバイスをもらうことができます。