浮気について

【離婚の理由】肉体関係の証拠がなくても認められるケース

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不倫が理由の離婚には確固たる証拠が必要

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前回の記事「確実な浮気の証拠がない場合は?」で、浮気の証拠として「第三者から見ても肉体関係の有無があると分かるもの」が必要だと記載しました。

そのため、探偵事務所による浮気調査では、ラブホテルや(一人暮らしである)不倫相手の自宅で証拠写真が抑えられています。

実際のところ、肉体関係は密室の中で行われることが多いため、行為中の写真・動画を撮影することは不可能です。よって、肉体関係が行われたであろうと推測できる場所へ出入りをしている写真や、その時間などが撮影されていれば、概ね証拠として認められます。

しかし、必ずしも肉体関係がなければ、離婚事由として認められないわけではありません。

今回は、その点に関して記載します。

まずは1つの事例をご確認下さい。

肉体関係がなくても離婚事由になる例

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A子さんはある日、夫であるBさんからLINEを受け取りました。

しかし、その内容は送信先を間違ったと思われる内容で「早く新しい写真を送ってよ」「次の写真が待ち遠しい」と書かれてありました。

夫が他の女性とLINEをしているかもしれない…。

そうは思っても疑いたくはなかったので、知人に子供の写真でも催促しているものだと思い込むようにしました。しかし、他人の子供の写真を欲しがる人ではないことくらい、A子さんには分かっています。

夫が寝静まった頃に、こっそりと夫のスマホを見ると、そこには知らない女性の裸や自慰行為をしている女性の動画など、何枚もの卑猥な写真や動画がありました。

ネットからダウンロードしたものではなく、全てLINEを介してのやり取りです。

A子さんが友達に相談すると、友達は「LINEをしているだけなんて浮気に入らないって」「風俗で高額なお金を使われるマシでしょ」「そういうサイトを見ていると思えばいいじゃない?」と矢継ぎ早になだめられました。

別にLINEの女性と会っているわけでもなさそうだし、そういうやり取りを楽しんでいるだけなら…と、一度は思いましたが、やはり気持ちの良いものではありません。

モヤモヤしたままだと他のことが考えられなくなりそうなので、正直に夫へ話すと、まずはスマホを勝手に見たことを責められました。

さらに、他の女性とHなやり取りをしているのは「性生活が充実していないからだ」と言われました。

たしかに、ここ数年は夫婦の営みがありません。しかし、A子さんには性行為を行うことができない理由があり、それは夫も知っていることで、A子さんにとっても辛い現実です。

スマホを勝手に見たことについて謝り、性行為も可能な範囲で応えることを伝え、だから知らない女性とのLINEをやめてもらうようにお願いをしましたが、「裸くらいでいちいち騒ぐなよ」「雑誌を見ていると思えばいいだけだろ」と態度を改めてくれませんでした。

身体の都合(死産による手術の影響)で性行為を行うことができないA子さんにとって、それはひどく屈辱なことで、離婚を考えるようになりました。

しかし、LINEの女性と夫は一度も会った様子はありません。ただ、お互いの裸や自慰行為中の写真・動画を送り合い、満足しているだけのようです。

肉体関係とは言えない状況ですが、これは離婚事由に該当するのでしょうか?

ベッド

上記のようなケースは、たしかに不貞行為には該当しません。肉体関係が確認できず、あくまでデータ上のやりとりであると考えられます。

しかし、A子さんがどうしても一緒に暮らすことが苦痛であると感じた場合、民法770条の1項5号にある「婚姻関係を継続し難い重大な事由」として離婚が認められる可能性もあります。

このケースのポイントは、死産や手術の関係でA子さんが心身ともに大きなショックを抱えているのにも関わらず、夫であるBさんが「雑誌を見ていると思えばいいだけだろ」などと、話し合いに応じる素振りを見せない点です。

このように開き直りや一方的な言い分を重ねるなど、夫婦としての生活を継続できないと思われる言動が続くことで「婚姻関係を継続し難い重大な事由」が適用される場合があります。

ただし、この「婚姻関係を継続し難い重大な事由」が、あまりにも簡単に認められるようになると、婚姻生活を継続しようとする努力を怠ってしまう懸念があるので慎重に判断されます。

<浮気探偵.com編集部より>

心情的には不貞行為に該当しそうな今回のケースですが、道徳的な不貞行為と法律上の不貞行為は同じではありません。

法律そのものは、道徳的な観点を備えていますが、その中から誰かがどう見ても慰謝料を認めてあげるべきだ、と考えられる事例に対して損害賠償責任を認めます。

だからこそ、不倫が原因で慰謝料を請求する場合は、誰がどう見ても不貞行為(浮気)だと思える証拠が求められます。

探偵事務所の浮気調査による証拠写真は、第三者である探偵が証拠を撮影しているため、客観的にも不貞行為だと捉えられるものになります。

もちろん、探偵に頼らずに自分で証拠を撮影することも可能かもしれませんが、むやみに相手を疑い責め立てることで相手側から「婚姻関係を継続し難い重大な事由」として慰謝料と離婚を突きつけられる恐れもあるため、充分な注意が必要です。

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