『離婚したい理由は、女だとばかり思ってた』
2018年春ドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)において、夫に突然離婚を切り出され不倫を疑う妻、という役どころの黒澤蝶子(大塚寧々)に当てられたキャッチコピーです。
蝶子の夫、黒澤武蔵(吉田鋼太郎)が恋をしていたのは女性ではなく、部下の“男性”でした。
このように、今、パートナーの不倫相手が同性だった…ということはドラマだけの話ではなく、現実にあり得る話になってきています。
今回は、パートナーが同性と不倫をしていた場合、男女間での不倫とは何が違うのか、どのようなことに気をつけて行動をすべきなのか、ご紹介いたします。
目次
パートナーとの同性との浮気を疑う時
パートナーの浮気を疑った場合、浮気相手が必ず異性であるとは限りません。
例えば、以下のような理由から、パートナーの同性との浮気を疑うことがあるでしょう。
特定の友人と仲が良すぎる
パートナーが特定の友人と仲が良すぎる場合、恋愛関係を疑うことができます。
もちろん、本当に友情である場合も十分に考えられますから、無闇に特定の友人と仲の良いパートナーを疑う必要はありません。
一方で、同性同士の強い絆はあくまで友情であるという風潮を利用し、堂々と同性の浮気相手とデートを楽しんでいる方もいます。
何かあれば、「同性の友達と遊んでいるだけ」と言って浮気を隠すことができるので、異性との浮気に比べて同性との浮気はハードルが低いと考える方さえいるようです。
もしあなたがパートナーとその友人に対し、浮気の疑いを持つことがあったならば、一人で悩み続けるのではなく、浮気なのか友情なのか本当のことを知るための行動が得策となってくるでしょう。
疑い続ければ、真偽に関わらずパートナーとの関係に亀裂が入ってしまう可能性があります。
疑惑を晴らすことができれば、今まで以上にパートナーへの信頼が深まるでしょうし、もし浮気をしていた場合は、今後の関係について考え直すきっかけとなります。
両性・同性愛者だとカミングアウトを受けている
今やクラスに一人はLGBTの方がいるとされています。
統計にこうした数字が現れる程、彼らの存在は世間に認知されつつあります。
そうした時代の流れの中で、パートナーから両性愛者、または同性愛者であるというカミングアウトを受けることは、決してあり得ない話ではありません。
両性愛者…広義で男女両方の性に恋愛感情を抱くことができるとされている彼らが、男女で婚姻を結ぶことは決して珍しくはないでしょう。
一方、広義では同性しか愛せないとされる同性愛者の方も、例外的に唯一愛することのできる異性、また信頼できる異性と婚姻関係を結ぶことがあります。
ですから、パートナーからカミングアウトを受けたとしても、それが必ずしも浮気や離婚と繋がるというわけではありません。
しかし、カミングアウトを受けた上で、パートナーに疑わしい行動があった場合、同性と浮気をしている可能性は十分に考えられます。
パートナーの性的指向は離婚原因になり得るか
もし、カミングアウトを受けるなどして、パートナーが両性愛者もしくは同性愛者だと発覚したとします。
その場合、浮気を疑う以前に、今まで知らなかったパートナーの一面に衝撃を受ける場合もあるかもしれません。
そして、残念ながら離婚という選択肢を選ぶ方もいるでしょう。
しかし、パートナーの性的指向がどうあれ、それ自体が離婚原因として認められることはありません。
両性・同性愛者のパートナーと離婚したい場合
パートナーが両性愛者もしくは同性愛者だった場合、それ自体を離婚理由として認めることは非常に差別的な行為となります。
夫婦生活が破綻せず、平和的に維持できているのであれば、例え夫婦の一方もしくは双方がどのような性的指向を持っていたとしても、離婚原因として認められることはありません。
しかし、もしパートナーが両性・同性愛者だと知り、どうしても離婚したいのであれば、他に「婚姻を継続し難い重大な事由」があることを証明する必要があります。
例えば、同性愛者であるパートナーが同性と浮気をしている場合や、異性である妻(夫)を愛せないことが原因で夫婦のセックスレスに発展している場合などは、重大な事由があるとして認められる可能性が高いでしょう。
浮気相手が同性だった場合、何が変わるのか
では、実際にパートナーの浮気相手が同性だった場合、一般的な夫婦の浮気問題と何が同じで、何が変わるのでしょうか?
浮気相手の性別に関わらず、大切なパートナーの不倫、という事実は変わりません。
あなたが傷つき、パートナーに対して慰謝料請求や、浮気相手との関係解消を望むのは、至極当然のことです。
しかし、浮気相手が同性だった場合、同性だからこその注意点が存在します。
同性同士の浮気は、“不貞行為”ではない?
婚姻関係にある男女の間には貞操義務があり、配偶者以外との異性と性的関係を持たないことが互いに義務付けられています。
その貞操義務違反をする…つまり、パートナー以外の異性と性的関係を持った場合、不貞行為を働いたとされます。
この不貞行為は、あくまで“異性との行為”を指しています。
ですから、同性間における浮気は、不貞行為に当てはまらないとされるのが、伝統的な判例でした。
しかし、現在LGBTの方々の存在が認知され始め、法律の解釈は徐々に変わり始めています。
性的関係に至るのが異性間には限らない、という考えが浸透し始めている今、場合によっては同性との浮気が不貞行為と認められます。
パートナーの浮気相手が同性だったからといって、泣き寝入りをする必要は決してありません。
法律のプロを味方につけ、離婚や慰謝料請求など、少しでも自分の望む結果に近づけるよう行動していくことが重要です。
同性との浮気は証拠の立証が難しい
浮気相手が同性だった場合、男女の浮気よりも証拠の立証が難しくなります。
例えパートナーがいたとしても、同性同士であれば、二人で食事をする、出かけるといった行動は自然です。
今や、各ラブホテルが「女子会プラン」というものを打ち出しており、女性二人でのラブホテル利用は決して珍しくありません。
男性同士であっても、男友達二人でホテルに泊まる、ということは十分にあり得ます。
そうした事情から、同性間の浮気は男女間の浮気以上に、証拠を掴み浮気を立証するのが難しくなっています。
自分一人でパートナーの浮気を証明する証拠を掴むのは、至難の業だと言わざるを得えません。
同性との浮気を確実に証明するためには
同性同士の浮気は証明しにくいものですが、それでもプロの手による調査があれば、証拠を掴むことは可能です。
探偵などの捜査のプロは、法律や浮気、離婚などの事情に精通しており、同性同士であっても確実に浮気の証拠を掴んでくれます。
また、法律を知り尽くした弁護士は、確実な浮気の証拠を基に、あなたの望む結果が得られるようにサポートしてくれます。
ですから、一人で戦おうとせず、弁護士に相談をする、探偵事務所の手を借りて証拠を集める、といったことが大切です。
同性と浮気したパートナーとの離婚・慰謝料請求
同性との浮気は不貞行為にはならないとご紹介しましたが、では、同性と浮気したパートナーへの慰謝料請求や、離婚の要求は難しいのでしょうか?
結果から申し上げると、離婚や慰謝料請求は可能です。
パートナーと離婚する場合
性別に関係なく、浮気をしたパートナーとは別れたい、と考える方がいらっしゃるかと思います。
その場合、「婚姻を継続し難い重大な事由」を証明することで、離婚請求が可能です。
もし同性との浮気が不貞行為と判断されなくても、パートナーの浮気が原因で夫婦生活が破綻していたと判断された場合は、「婚姻を継続し難い」と判断される可能性が高くなります。
その時、パートナーの浮気の事実や夫婦関係の破綻を、証拠という形で証明できれば、より容易に離婚請求が通るはずです。
また、「婚姻を継続し難い事由」の原因となったパートナーとその浮気相手に対し、それぞれ慰謝料請求をすることが可能になります。
パートナーと離婚しない場合
例えパートナーが浮気をしていたとしても、離婚をしたくないと考えたとします。
もし、あなたがパートナーに離婚を切り出されたとしても、相手の浮気が夫婦の関係破綻の原因であり、あなた自身に原因がないと証明できれば、離婚を却下できる可能性が高くなります。
また、パートナーの浮気相手に対し、不貞行為に類似する行為を行ったとして、慰謝料請求をすることができるかもしれません。
法律の解釈にもよりますので、男女間の不倫のように「不貞行為だから慰謝料請求可能!」とはっきりと言えないところが、パートナーの同性との浮気と向き合うときの難しさです。
しかし、パートナーの浮気によって深く傷つき、精神的なダメージを負ったことは間違いありませんから、慰謝料請求は当然の権利だと言えるかと思います。
浮気相手に慰謝料請求をするなら、信頼できる法律のプロを味方につけ、相手の浮気を証明し、確実に事を進めていきましょう。
同性不倫の場合、離婚時に決めておいた方が良いこと
慰謝料以外に決めておいた方が良いこと
お金関連のもので言うと、一つ目が『財産分与』についてです。『財産分与』とは、夫婦が結婚生活を送っている間に獲得した財産を分けることを言います。お金は揉める原因となるので、きちんと話し合うようにしてください。
二つ目に決めておくべきことは、『年金分割』です。『財産分与』より『年金分割』は聞き馴染目がない人もいるかもしれませんが、結婚生活を送る中で将来の厚生年金部分を分割することを言います。今すぐ必要になるものではないかもしれませんが、将来絶対必要になるはずなので、こちらも話し合っておく必要があります。
そして三つ目が、『養育費』に関してです。夫婦の間に子どもがいる場合に、離婚後に一緒に同居しない方の親が、子どもと一緒に同居する親へ子どもを育てるのに必要な費用を払います。一人だけの収入で子どもを育てようとすると、なかなか余裕をもって子育てをできない可能性があるので、養育費はもらうようにした方が良いでしょう。
そして四つ目が『親権』についてです。子ども養育監護、お金の管理、子どもを代理しての法律行為などに対応する親権者を決めます。夫婦のどちらかが親権を取ることになりますが、お互いに親権を取りたい場合なかなか話が進みにくくなります。親権を取るには、子どもの意思も尊重されることがあります。子どもが自分の意思をきちんと伝えられる年齢であれば、子どもの意思を受け入れられることがあります。また、兄弟は離れて暮らさないようにした方が良いと考えられているため、子どもが二人以上いても、どちらかが上の子、どちらかが下の子を養育するなどは基本的に認められません。
最後に五つ目が『面会方法』です。子どもと同居しない親が、どれだけの頻度で子どもと面会できるかを決めておくことが重要です。場合によっては、同居をする親がDVを受けていたなどの理由から、面会を拒否することもあります。DVを日常的に行っていた人は、稀に住所を教えてなくても色んな手段を使って接触しようとしてくる可能性もあるので、きちんと話し合ってお互いが納得できるようにしておいてください。
【同性との不倫】体験談とインタビューから学ぶ
ここまで、パートナーの浮気相手が同性愛者だった場合の注意点や慰謝料請求についてお話させていただきました。
次は、実際に“同性との浮気”という問題に向き合ったご経験にお二人の方の体験談と、インタビューさせていただいた内容をご紹介させていただきます。
浮気相手の性別に関わらず、不倫や浮気が夫婦の絆や家庭を壊しかねないものだということは変わりません。
しかし、もし浮気相手が同性だった場合、一般的な不倫問題とは別にどのような問題が起き得るのか、どのように対処すべきなのか、考えながらお読みください。
「妻が同性愛者で、僕たちは偽装結婚でした。」(30歳・男性・Eさん)
当時の妻は、同じ職場の同僚でした。
とても可愛らしい雰囲気の彼女は、職場の人気者でしたが、なぜか浮いた話一つありませんでした。
僕なんかが…という思いもあったのですが、せっかく浮いた話がないのに、ここで諦めるのはもったいない、と思い、段々と僕の方からアプローチをかけ始めたんです。
最初は、何だか迷惑そうにしていた妻でしたが、段々と笑顔で接してくれることが増えるようになり、1年の交際の末に結婚しました。
当時、どうして結婚してくれたのか聞いた時は、「無理強いしない優しい性格のあなただから」と言ってくれたことを覚えています。
それからしばらくは、本当に円満な夫婦生活を続けていたと思います。
ただ一つ僕の中で不満だったのは、妻が僕からのスキンシップを一切拒絶してくることでした。
実は、付き合っているときから妻は手を繋いだり、ハグをしたり、ということが苦手だったんです。
「恥ずかしいから」と拒否する妻を、最初は可愛いなあと思っていましたが、正直結婚してまで拒絶をされると、落ち込みます。
僕は子供も望んでいたので、彼女にその気がなさすぎるのは、とても困ることだったのですが…「無理強いしない」「優しいところが好き」なんて言われたことがあると、嫌われたくなくて手が出せないんですよね。
妻の意思を文句一つ言わずに尊重できる優しい夫…。妻にとって、自分はそういう夫であるべきだと言い聞かせて、僕は妻との結婚生活を営んでいました。
ですが、その我慢も限界に来ていた頃、妻の外泊が増え始めたんです。
ただでさえ拒絶されているのに、そもそも妻が家に帰って来なくなれば、それはもちろん不満だし、疑いますよね。
ただ、あまりに堂々と外泊したり、出かけたりするので、それはそれで「これは本当に浮気か?だったらもっと隠すんじゃないか?」みたいな気持ちが生まれてきてしまうんです。
僕は妻のことを本当に愛していたので、妻を疑いたくない、という気持ちもあったんだと思います。
ずっと一人でもやもやと悩んでいましたが、このままではいけないと思い、僕は妻を問い詰めました。
なぜこんなにも外泊や出かける予定が多いのか、子供がいないからと言って夫を置いてそれはないんじゃないか、正直な話、不倫も疑っているんだぞ、と…僕の素直な想いをぶつけたつもりです。
話を聞いている間、妻はずっと無表情でした。
ショックを受けているというわけでもなく、かといって焦っている様子もない妻の様子に、非常に違和感を覚えたのを覚えています。
話し終わった僕に対し、妻はこう言いました。
「実は、私の親友がDVのようなものを旦那さんから受けていて、一緒にホテルに泊まったり、遊びに行く予定を立てたりして逃げていたの。
そうすれば、親友の気持ちも晴れるし、相談にも乗ってあげられるでしょ。
私も親友の役に立ちたかったし…私、いつも『女友達と出かけてくる』って言ってたよね?
親友の事情について話さなかったのは私も悪かったけど、あの子の事情を私がペラペラ話すわけにいかないし、そもそも私嘘はついていないのに…。
まさか、不倫なんて思われていると思わなかった。心外だし、そんなに私って信頼ないんだね。」
そう言った妻は、その日から目に見えて私と距離を置くようになりました。
『やってしまった』…僕の当時の心境は、まさにこういった感じでした。
それから妻との関係を何とか取り戻そうと、関係修復に努めたつもりです。
しかし、妻が気持ちを取り戻してくれることはなく…ついに、離婚をほのめかされた僕は、何とかしなくてはと思い、数年来の友人に相談することにしました。
すると、友人からこんな衝撃の発言が飛び出したのです。
今までお前が奥さんにべた惚れだったから言わなかったが、たぶん彼女は浮気しているぞ、…と。
頭が真っ白になりました。
妻の不倫疑惑は、もう晴れていたはずです。
よく話を聞いてみると、妻が女性と連れ立って、よくそういう場所…いわゆる、レズビアンバーといったところに出入りしているのを、友人は見ていたんだそうです。
一気に、僕の中で一つの説が持ち上がってきました。
妻の言う親友は、同性の不倫相手なんじゃないか?
妻は同性しか愛せないから、僕を拒絶していたんじゃないか?
いてもたってもいられなくなった僕は、友人に協力を要請して、一緒に妻の浮気を調べることにしました。
僕も仕事があったので、上手くいくか分かりませんでしたが…友人が女性と二人でバーで親しげに話している様子を写真に撮って送ってくれたんです。
「これが、彼女の浮気相手なのか…」
そう思うとショックでしたが、相変わらず家では妻に離婚をほのめかされており、焦っていた僕は証拠を手にできたことが何より嬉しかったんです。
証拠があれば、きっと離婚をせずに済むはず…善は急げとばかりに、僕は弁護士のもとへと相談へ行きました。
しかし、写真を見せた弁護士が、「これでは証拠にならない」と言うんです。
浮気の証拠として認められるものは、もっと決定的なものでないといけないそうで…例えば、ラブホテルから二人で出てくるとか、確実に現場を抑えていないといけないんだそうです。
特に、同性の場合は一緒に出かける、一緒に泊まるということが友人であれば普通ですから、より確実性の高い証拠が必要なんだと言われました。
それに、友人がくれた写真は、隠し撮りだとして、こちらの方が違法性を問われてしまう可能性があるとも言われ、とてもショックを受けた覚えがあります…。
この写真を使って、妻を問い詰めようかとも思いましたが…妻は、とても口が上手いんです。
また何か上手いことを言って躱されるどころか、疑った僕が責められて不利な立場になることは、わかっていました。
どうしようかと悩み続けましたが、妻は実家に帰ることも多くなり、離婚を切り出されるのはもう時間の問題でした。
しかし…最初は離婚をしたくない余りに妻の浮気を調査し始めた僕ですが、実際に写真を見たり、弁護士の方に相談しているうちに、僕の気持ちは揺れていたんです。
離婚したほうがいいのかもしれない、妻とやり直せる気がしない…こんなふうに塞ぎ込み始めた僕は、せめて妻にどれだけ僕が悩み傷ついたのかを知ってもらいたい、そう考えるようになりました。
弁護士の方にもそのことを伝えると、同性間の浮気は不貞行為にならないが、場合によっては妻から慰謝料がもらえるかもしれないとのことでした。
浮気相手が同性だろうと異性だろうと、浮気していたら不貞は不貞だろうと思いましたが、今の法律でそうなっているなら仕方ありません。
どんな形であれ、妻にしっかりと現実と向き合ってもらおうと思いました。
ただし、慰謝料請求をするなら「妻が浮気をしている確固とした証拠」が必要だと言われたんです。
妻の浮気が原因で婚姻関係が破綻したため婚姻生活を続けるのは難しい、と裁判で訴えて慰謝料請求するためだそうです。
僕は、背に腹は変えられないと思い、弁護士の方に勧められた探偵事務所に浮気調査を依頼しました。
妻は相手が同性ならバレないと思っていたのでしょう、妻は堂々と出かける日を僕に伝えてきていたので、探偵の方にはその日を伝えて集中的に調査してもらいました。
結果、妻が“親友”とされる女性と手を繋いでラブホテルに入っていくところや、一緒に出てきてキスして別れるところなど、明らかに浮気と思われる証拠をいくつも集めることができました。
おそらく着々と離婚準備を進めていたであろう彼女より先に、僕の方から離婚調停を起こし、妻に慰謝料請求をしました。
最初、妻は何食わぬ顔で「不倫なんてしていません」と言っていましたが、さすが弁護士はプロだなと思いますね。
弁護士の方が証拠を見せながら問い詰めると、妻もどんどん顔が真っ青になっていって、最終的に不倫を認めました。
慰謝料請求も通り、妻はそのまま逃げ帰るように実家に帰ってしまい、浮気相手の女性とも別れたようです。
愛情の残っていた妻に慰謝料を請求するというのは、心苦しいことでもありましたが…こうでもしないと僕自身の気が済みませんでしたし、妻が反省できないように思ったんです。
今は、バツイチになってしまいましたが、信頼できる女性と付き合っており、結婚に向けて話し合いを進めています。
今でも妻のことは許せませんが、妻とのことで色々と学ぶことも多かったですから、大事な経験だったと思うようにしています。
【30歳・男性・Eさん談】
いかがでしたでしょうか。
Eさんにとっても、奥様の裏切りは辛いものだったかと思いますが、今回の経験を通じて色々と思うところもあったとのことです。
今回は、Eさんに当時のことを質問形式でインタビューさせていただきました。
Eさんへのインタビュー~偽装結婚とは?~
ですが、まさか妻が同性愛者だとは思っていませんでした。だって、男である僕と結婚しているわけですからね。
ただ、妻の実家は厳しくて、“普通に”結婚しないと、と思っていたそうです。そこで、優しい…いえ、都合のよさそうな僕を選んだんだそうです。
こういうのを、「偽装結婚」と呼ぶんだそうです。
中には友情結婚というものもあって、本人たちの同意のもと友人同士で結婚している場合もあるそうですが、僕のように半ば騙される形で偽装結婚に付き合わされていることも稀ではないみたいです。
だけど、実際に妻とのことがあって、決してそういう問題が僕らに関係ないことではないんだなと感じました。
もちろん、妻のしたことは今でも許せません。でも、もし社会的に同性婚が認められていたり、そもそも偽装結婚をしなくていいくらい世間が寛容なら、妻は偽装結婚なんて選択肢とらなかったかもしれないじゃないですか。そしたら、僕もこんな悲しい思いをせずに済んだわけですよ。
慰謝料請求するときだって、同性愛だから不貞じゃないなんて意味がわからないなと正直思いましたし、その辺りの法律に関しては、性的指向に関わらずちゃんとしてほしいなと思います。
「女性パートナーとの結婚のため、旦那と別れました」(27歳・女性・Mさん)
元旦那とは高校時代に出会って付き合い、卒業後すぐに妊娠が発覚したこともあって、18歳で結婚をしました。
早すぎると言われることもありましたが、旦那とは仲も良く、子どもの面倒も苦なくできるタイプだったので、たまに喧嘩はありましたが基本的に結婚生活は順調だったと思います。
ただ、一つ普通の夫婦と違うところは、私が男女両方愛せるバイセクシャル(両性愛者)だったということでしょうか。
もちろん、旦那も私がバイであることは了承済みでした。
私としても、男女どちらとも恋愛できるけど、たまたま結婚することになったのが男性である旦那だったというだけで、特別何か周りに言われるようなことをしたつもりはありません。
ただ…専業主婦だった私が、子供が保育園に入ったことを機に社会に出始めた頃、なぜか段々と私の中で、男性よりも女性に対する興味が大きくなってきていたんです。
それでも、旦那のことを好きだと思えるうちは、上手く行きました。
ですが徐々に旦那のことを受け入れられなくなり、女性と付き合いたいという気持ちが大きくなっていくうちに、このままではいけないと思い、私は彼に離婚を持ちかけたんです。
子どもはいましたが、早くに結婚したこともあり、まだまだ私達は若く、やり直す時間はたくさんありました。
私のせいで、旦那が若い働き盛りの時を私のために使い無駄にしてしまうのは、どうしても避けたかったんです。
だけど、旦那は離婚を受け入れてはくれませんでした。
それどころか、とんでもない提案をしてきたんです。
「男との浮気は許さない。でも、女となら浮気をしてもいい。だから別れないでくれ」
そう言われた私は、ここまで言ってくれる人に、これ以上何を言っても無駄だと思い、離婚することをやめました。
そのうち、私にも彼女ができるようになります。
旦那とは「彼女ができたら報告、できれば紹介もする」という約束になっていたので、基本的に彼女を紹介していました。
付き合う彼女も、もちろん私に旦那がいることは知っており、その上で付き合ってくれる子と交際をしていました。
どこまで理解しているのかはわかりませんが、子供までもが私に旦那以外の恋人がいることを知っていたので、今考えても本当に不思議な関係を築いていたと思います。
彼女は別れたり、新しい彼女ができたりと、その時々によって違いましたが、そんな生活をかれこれ5年ほどは続けていたように思います。
その頃にはすでに、私はバイというよりは完全に女性だけを好きになるようになっていましたが、旦那との関係は切れずにいました。
しかし、再び私が離婚を考える日は、唐突にやってきました。
当時から付き合っている彼女に、こう言われたんです。
「あなたとどうしても、結婚がしたい」
事実上のプロポーズだったのかもしれません。
その瞬間、一気に私も彼女と結婚したい、彼女と一緒に生活がしたい、そう思うようになってしまったんです。
同性婚が認められていないとはいっても、彼女と結婚に近い生活をするというのは、つまり旦那と離婚をするということです。
彼女は、子供も一緒に暮らしたいと言ってくれましたが、それは子供にも旦那にも辛い思いをさせる選択です。
かといって、子供は旦那よりも私に懐いており、意味も理解しないままに「ママとパパが離婚したら、絶対ママについていくね!」と言っているような子でした。
普通に考えれば、私の身勝手で離婚をするのですから、旦那に子供くらいは残してあげるべきなのかもしれません。
でも、子供は物ではありませんから、子供の感情を無視して事を進めることができませんし、何より私も子供とは離れ難かったんです。
どうしようかと悩んだ末、このままではいけないと思い、旦那に再び離婚を切り出しました。
彼女にプロポーズされたこと、彼女との結婚を望んでいること、親権を持ちたいこと、すでに旦那に愛情がないこと、全て正直に話しました。
もちろん、大喧嘩になり、そのときは殴る蹴ると言った暴行も受け、一時は拒食症にもなりかけましたが、私としてももうこれ以上、自分に嘘をついて旦那と嘘の結婚生活を続けることはできませんでした。
弁護士にも相談をしながら、長い時間をかけて話し合いましたが、結局円満離婚という形で離婚に至ったのが、当時を思うと奇跡のようです。
子供の意思を尊重し、親権は私が持つことになり、今は彼女との結婚準備を進めています。
子供もわかっているのかわかっていないのか、無邪気に彼女と仲良くしてくれているので、一見順調なんですが…。
ただ、やはり旦那に辛い思いをさせてきた罰なのでしょうか。
彼女の結婚準備は難航していて、正直今にも別れそうな状況です。
とはいえ、例え一人になったとしても、それはそれで運命として受け入れるつもりでいますから…。
【27歳・女性・Mさん】
いかがでしたでしょうか。
今回のお話は、非常に複雑な家庭環境に驚かれた方も多かったかもしれません。
Mさんにも、今回のお話に絡め、気になる点をいくつかインタビューさせていただきました。
Mさんへのインタビュー~自らの不倫の結末~
私は彼女とのことを旦那に隠したことはありませんし、彼女に旦那のことを隠したこともありません。ただ、もちろん罪悪感はありました。
こんな破綻した結婚生活を続けることが、旦那にとっていいことだとは決して思えませんでしたし、当時の彼女たちにも既婚者だということで我慢させたことがたくさんあったと思います。
私が相談した弁護士さんは「同性相手でも不貞扱いになる」と言っていたので、余計そう思っていたんです。
ただ、お話を聞いてみると、浮気を公認している場合って、すでに結婚生活が破綻しているから、旦那からの慰謝料請求って難しいらしいですね。とはいえ、あくまで不貞を働いているのは私なので、裁判をした場合不利になる可能性もあると言われていました。
とはいえ、一応私は自分が悪いと思っているので、養育費はもらっていません。旦那とは、「子供には好きな時に会う」ということを条件に別れたので、今でも子供と旦那の関係は続いているんですけどね。
仲直りってほどでもないですが、旦那もなんだかんだで新しい恋に踏み出しているようなので、今度こそ幸せになってほしいと思っています。
とはいっても、自分に嘘付き続けるのってもっとつらいんで、同じような状況の人は、早めに旦那さんや奥さんと話し合った方がいいんじゃないかなって思います。
浮気相手が同性でも、諦める必要はない
パートナーの浮気が同性だった場合、法律の解釈によって対応が変わる場合があり、異性との不倫の時よりも複雑な印象を抱いてしまうかもしれません。
2020年現在、同性との浮気は不貞行為として認められない、というのが伝統的な判例だと言わざるを得ません。
しかし、昨今では必ずしも男女だけが恋愛や不倫をするわけではない、ということが認識され始めています。
時代が変わっていくにつれ、同性との浮気が不貞行為として認められる日も近いでしょう。
少なくとも、同性との浮気は十分に離婚の原因になり得るもの、夫婦間の絆に多大な影響を与えるもの、として判断されます。
もし、今パートナーの浮気に悩んでいる方がいたら、相手が同性だからと諦める必要はありません。
探偵事務所や弁護士など、浮気や不倫・離婚に関する専門家の方たちは間違いなくプロですから、あなたの望む結果を引き寄せる大きな力となってくれます。
決して諦めず、一人ではなく多くの力を借りながら、パートナーの浮気に立ち向かっていきましょう。